初めに
サビキ釣りを一人でやってみたい。これだけ見れば一人でサビキ釣りに行けるまとまった記事があったらいいのに・・・
初心者が経験者に頼らずにやるのは、サビキ釣りでもなかなか難しいです。そこで、準備と釣り方だけでなく、意外なノウハウ、トラブルの対処法など、まとめて紹介します。
サビキ釣りは、初心者から上級者まで幅広く好まれる釣法です。
初心者でも簡単に最初の一匹に出会える釣法ではありますが、準備から釣り上げるまで、一人でやるのはよっぽど研究熱心でない限り難しいです。
準備すべき小道具が多いことや、結びの技術が必要なことなど、越えなければならない壁がいくつもあります。
また、仮にこれらの壁を乗り越えたとしても、上級者と同じ釣果を出すまでには、かなりの経験を積む必要がある、奥の深い釣法です。
この記事では、サビキ釣りを初めて一人でやる方のため、お勧めの釣法1種類だけ、そして経験者がやっている意外なノウハウまで、わかりやすく紹介します。
サビキ釣りの撒き餌と道具
準備するタックル
釣り用語の「タックル」というのは、竿・リール・仕掛け部分をまとめた一組を表します。
まずは、釣り竿の選び方です。
サビキ釣りをする場合、仕掛けのサビキ部分が長いため、4m以上の長い竿の方が扱いやすいです。
釣具屋の竿コーナーに行ったら、この長さの竿は磯竿コーナーに置いてあります。
ただし、小学生以下の子供に竿を買う場合は、4mは長すぎて使いにくいぞ。小学生であれば3m程度、6歳未満であれば2m以下の竿がお勧めだ!
サビキ釣りに限って言えば、竿を選ぶための基準で重要なのは長さです。できれば、柔らか目の竿がお勧めですが、長ささえ間違えなければ硬さはあまり気にしなくても大丈夫です。
下の商品は筆者がサビキ専用で使っている比較的柔らかめの竿です。柔らかい竿なので、誘いを入れやすく、釣果もいいです。
次に、リールを選んでいきます。
リールは、スピニングリールであれば、どのようなものでもサビキ釣りが可能です。長く使うのであれば、5000円以上するものがお勧めです。
サイズは、番手とよばれる数字で大まかに判断できます。サビキ釣りで筆者のお勧めは、3000番くらいのリールです。
筆者も使っているリールで、2023年時点で初心者にもお勧めできるダイワのレブロスを紹介しておきます。
値段は6000円前後とお手頃価格で、毎回ちゃんと洗えば何年でも使えます。
リールに巻く道糸は、ナイロンの3号で150m程度の長さにしましょう。
さらに、浮力が高いフロートタイプ、水中に漂いやすいサスペンドタイプがありますが、堤防の釣りであればフロートタイプにしましょう。
ナイロンの3号あれば、サビキ釣り以外の中型魚狙いの釣法でも利用することができます。
道糸は、自分で巻くこともできますが、リールを買ったタイミングで同時に購入して、釣具店で巻いてもらいましょう。
筆者がサビキ釣りで使っている道糸を紹介しておきます。
準備する小道具
タックルが準備できたら、サビキ釣りに必要なウキ釣りの小道具を道糸にセットしていきます。
タックルに小道具をセットし終わった時、以下のような構成になっています。
ウキは、仕掛け全体を一定以上の深さに沈めない役割があります。深さを決めるのは、ウキ止めの位置です。
ウキ止めには、ゴムタイプと糸タイプがあります。
初心者は、結びが必要ないゴムタイプを勧められることが多いですが、ゴムタイプはトラブルになりやすいので、初めから糸タイプを使うのをお勧めします。
糸タイプの結び方は、後述します。
しもり玉、からまん棒、サルカン、これら4種類の小道具は、下のような小道具ケースにまとめておきましょう。
ウキは、500円以下で買える、サビキ釣り用と記載されているものを使いましょう。
ただ、サビキ釣りのターゲットになる魚は夜明け前に特に釣りやすいため、少し慣れたら、下の写真のような電気ウキを買ってもいいかもしれません。
ウキの浮力を決める号数は、6,8,10,12,15号などがあります。この号数ですが、よっぽどこだわりがない限り、1種類に絞るようにしましょう。
ウキの号数に合わせて他の道具も買う必要があるため、異なる号数を何種類も買うと、その分だけ道具も増えてしまいます。
筆者は、ほとんど8号で揃えるようにしています。
サビキ針は、種類とサイズが多数釣具屋にあります。
ターゲットや時期に応じて、最適なサビキの種類は決まってきます。
15㎝未満の小アジ狙いなら、3号のケイムラタイプは、多くの釣具店で扱っていて、ハズレが少ないです。
なお、釣具店には、1セット400円くらいする高級サビキと、3セット300円程度の廉価サビキがあります。
高級サビキの方が、若干耐久性が高い気がしますが、釣果はそれほど変わりません。
最後に、撒き餌を入れるカゴについてです。
サビキ用カゴには、フタ無、フタ有、天秤付き、などがありますが、最も安価なフタ無しタイプで問題ありません。
ウキが8号であれば、カゴも8号タイプを選びます。
お勧めの撒き餌
サビキ釣りに使う撒き餌は、小魚が大好きなアミエビを使います。
アミエビは、チューブに入っているタイプと、冷凍してブロックになっているタイプがあります。
チューブに入っているタイプは、値段が高い、効果はやや低い、量が少ない、というデメリットがある一方、常温で長期保存できる、手が汚れにくい、などのメリットがあります。
冷凍ブロックタイプは、購入した翌日には使い切らなければならないですが、同じ量を半額くらいで買えて、撒き餌効果は高いです。
釣り一回目であればチューブタイプでもいいですが、釣果を少しでも上げたければ、冷凍ブロックタイプをお勧めします。
さらに、下の写真のような集魚剤を冷凍ブロックに混ぜることで、量が増えるだけでなく、集魚効果をさらに高めることもできます。
サビキ釣り仕掛けの作り方
カゴの位置は?ウキは付ける?
サビキ釣りは、撒き餌とサビキ針を水中で同調させることで、サビキ針に誤って食いつかせることで釣る仕組みです。
つまり、サビキ針が魚から見て餌に見えるようにする、という仕組みさえ知っていれば、どのような仕掛けでも釣ることができます。
カゴは、サビキ針の上方に付けても下方につけてもいいし、ウキがあってもなくても、仕組みさえ理解できていれば釣りは成立します。
ただ、初心者が最初に一人で挑戦するのであれば、下カゴのウキあり仕掛けをお勧めします。
下カゴのウキあり仕掛けは、二つの大きなメリットがあります。
- 仕掛けが上カゴに比べるとシンプル
- ウキがあるので当たりがわかりやすい
デメリットはあまりないですが、強いて言えば上カゴに比べると撒き餌とサビキがやや同調しにくいことくらいです。
仕掛けの構成
釣り竿とリール、そして各種小道具を装着した仕掛け全体の構成をあらためて紹介します。
多数の道具をセットしていく必要がありますので、順番にセッティング方法を説明していきます。
【竿にリールをセット】
釣り竿にリールをセットして、リールから道糸を竿のガイドに通していきます。
ガイドに通すとき、道糸をリールから少しずつ出す必要がありますが、この時リールのベールは開けずに手で道糸を引っ張るようにしましょう。
下の写真のように、リールの上部には「ドラグノブ」という部品があります。これを緩めることによって、道糸が軽い力で引っ張れるようになります。
道糸を引っ張り終わったら、ドラグノブを締めておきます。
ドラグ機能というのは、道糸の引っ張り強度を微調整できる、リールの持つ高度な機能の一つだ。特に、中型以上の魚を狙う場合には、使い方を覚える必要があるぞ!
【ウキ止め、しもり玉、ウキ、からまん棒】
リールに近い方から順に、ウキ止め、しもり玉、ウキ、からまん棒をセットしていきます。
ウキ止めには、ゴムタイプと糸タイプがありますが、糸タイプが断然お勧めです。以下の記事でウキ止め糸の結び方をまとめていますので、参考にしてください。
【サルカン】
道糸の最後にはサルカン、またはスナップ付きサルカンを付けます。ここまでが、ウキ釣り仕掛けの基本形です。
以下の記事で、サルカンと道糸など、金属と糸を結ぶ基本の結び方であるクリンチノットをまとめています。
サビキ釣りの釣り方
釣れる場所は?時期と時間は?
関西以西の釣り場で、6月から11月であれ、ほとんどのどこでもサビキ釣りをすることができます。
釣果をより上げるのであれば、夜明け前から釣りを開始するがお勧めです。
特に、小アジや小サバなど、サビキ釣りのターゲットになる魚は、夜明け前であれば撒き餌無しでもサビキ針に食いついてくるくらい食欲旺盛です。
仕掛けのキャスト
サビキ釣りにおける仕掛けのキャストは、以下の3パターンがあります。
- 真下に仕掛けを落とす
- 仕掛けを振り子のようにして遠くに落とす
- オーバーキャスト
初めてであれば、まずは真下に落としましょう。
魚というのは堤防際から離れた場所にいると思うかもしれませんが、特に小アジ小サバであれば、むしろ壁際にいます。
真下に落として魚の反応が悪ければ、仕掛けを振り子のようにして、5mほど遠方に落としましょう。
ただ、振り子キャストは、手すりがあるところではやりにくいです。
堤防際に魚がいないとなったら、最後の手段はオーバーヘッドキャストです。上手な人なら、サビキ仕掛けでも30m近く飛ばすことができます。
ただし、初めての釣りでオーバーヘッドキャストすると、他の釣り客に迷惑をかけるかもしれないのでお勧めしません。
周りに多くの釣り人がいる場合は、人が少ないときに練習してうまくなるまではオーバーヘッドキャストは控えるようにしましょう。
仕掛けの水深の調整
針が6本以上あるサビキだと、ヒットするのが上段または下段の針に集中することがあります。
このような場合は、仕掛けの水深(タナ)がずれている可能性があります。
もし、上段ばかりにヒットするときは、タナが深すぎる可能性があります。逆に、下段ばかりにヒットするときは、タナが浅すぎる可能性があります。
釣りを始めるときは、浅めのタナから始めて、反応が悪ければ少しずつ深くしていくのが定石です。
タナの調整は、ウキ止めの位置をずらすことで行います。
誘いの入れ方
小魚の活性が高いときは、撒き餌なしでサビキ仕掛けを水中に落とした瞬間に食いついてきます。
活性が低くなるにしたがって、
- 撒き餌ありで即ヒットする
- 撒き餌ありで誘いを入れたらヒットする
- 撒き餌ありでもほとんどヒットしない
- そもそも魚がいない
といった感じで、難易度が上がってきます。
誘いを入れてヒットするときは、サビキ仕掛け全体をゆっくり大きく上下させるようにします。
魚がヒットした
サビキ以外の釣りでは、ヒットに気が付いたら、できるだけ早く針掛かりをさせて回収を開始します。
しかし、サビキ釣りに限っては、ヒットに気が付いてから3秒以上待つのがお勧めです。
サビキ針に掛かる魚は、不規則な動きのあるものを餌と認識する習性があるためです。
1匹目がヒットすると、仕掛け全体が不規則な動きをするため、2匹目以降が鈴なりでヒットしやすくなります。
ただ、あまり待ちすぎると、針が外れて逃げてしまうので、ある程度待ったら回収を開始します。
ウキのサビキ釣りは、当たったときのウキの動きでどの魚が掛かったかわかるようになってくるぞ!ウキがピコピコ動いたら小アジ、ウキが倒れたら小サバ、勢いよくウキが沈んだらスズメダイ。当たった魚を予想するのも、釣りの楽しみ方の一つだ。
経験者がやらないこと
巻きすぎない
釣りを始めたての人が仕掛けを回収すると、シモリ玉で引っかかってリールが動かなくなるまで巻いてしまっているのをよく見かけます。
この状態になると、次にキャストするときにリールのベールが開けにくくなるなるだけでなく、竿の先端のガイドが傷付いてしまいます。
仕掛けを回収するときは、ガイドの先端とウキの間が50㎝程度残るように回収しましょう。
地面に竿を置かない
掛かった魚を外すとき、竿を地面に置きたくなることがあります。
しかし、竿を置いてしまうと、釣った魚が暴れて糸が絡まりやすくなります。
また、置き方が雑だと、リールの中で最も傷つけてはいけない道糸がこすれる部分にキズが入ってしまうことがあります。
掛かった魚を外すときは、竿を堤防の柵やクーラーボックスなど高さのあるものに立て掛けて、糸は張った状態を維持するようにしましょう。
張った状態を維持すると、糸絡みする可能性を減らすことができます。
トラブルが起こった!
サビキの針が絡まった
サビキ仕掛けは、針の数が多い方が釣果が良くなります。
ただ、数が多いほど針どうしで絡まることが多いです。これはある程度の経験を積めば減らせますが、どんなに上手な人でも0にすることはできません。
10秒くらいでほどければいいですが、3本以上の針が絡んで容易には外せない場合は、思い切って新しいサビキに交換しましょう。
特に、小アジや小サバは、釣れる時間が集中する傾向があります。
特に、釣れているタイミングで針絡みを起こしたら、チャンスタイムを逃すほうがもったいないです。
このような交換はサビキ釣りではよくあります。
そのため、1式400円するサビキだけでなく、3セット300円の格安品を使って、トラブル対応に備えましょう。
リールの中に道糸が巻き込まれた
5000円以下の初心者用のリールを使っていると、道糸が下の写真のようにリールの中に巻き込まれてしまうことがあります。
この状態になると、何が起こったのかわからなくなって、糸を引っ張りたくなりますが、引っ張っても解消できません。
解消するには、ドラグノブを外して、道糸を巻いているスプール全体を外す必要があります。
根がかりした
釣りをやっていると避けて通れないのが根掛かりです。
これは、一定の経験を積むと減らすことはできますが、完全になくすことはできません。
根掛かりに対する万能の解決策はありません。ただ、初心者がやりがちだけど経験者は絶対にやらないことはあります。
それは、道糸を手元から切ってしまうことで、どんなに取れなくてもこれだけはやめましょう。
手元から切ると、大量のゴミを海に捨ててしまうことになり、環境に悪いだけでなく、後からの釣り人の根掛かりを誘発してしまいます。
根掛かりに対する対処法は、別の記事でまとめています。
実釣記録
今回紹介した仕掛けや撒き餌を使って、アジを半日で100匹以上釣った実釣記録を紹介しておきます。