初めに
釣り竿って、なんでこんなに種類があるの?
このような読者の方向けに、なぜ様々な種類の竿があるのか、最初の一本はどれを選んだらいいか、わかりやすく解説します。
釣りで一番最初に思い当たる道具は釣り竿だと思います。
初めて釣具店を訪れると、下は1,000円から、高価なものだと50,000円くらいするものもあります。
価格以外で見てすぐにわかる違いは、長さや細さです。少し触ってみると、硬さや重さも違うことがわかります。
このような竿の性質の違いは、釣り方やターゲットとする魚に対して最適化しているうちに、細分化されてきました。
この記事では、釣具店に置いてある様々な釣り竿の違いを解説していきます。特に、初心者の方が気が付きにくいけど、選ぶときには絶対にチェックしておきたいポイント2か所は重点的に紹介していきます。
なお、「船竿」と、ガイドがない「延べ竿」については、本記事の対象外としています。
釣り竿の種類
釣り竿の種類には、決まった分類があるわけではありません。下の図は、筆者が釣具店に行くとよく見かける分類パターンです。
釣りが初めてだと、なぜ釣り竿がこのように細分化されているのかわからないと思います。細分化されているのは、以下の三つの理由があります。
- 釣る方法が違うから
- 狙う魚が違うから
- 釣りをする場所が違うから
ここで言う釣る方法というのは、ルアーフィッシングか、餌釣りか、の違いを指します。
釣りの世界では、ルアーフィッシングで使う釣り竿を「ロッド」、餌釣りで使う釣り竿はそのまま「竿」と呼ぶのが慣例だ。これは、ルアーフィッシングが海外から伝わってきたことに由来すると言われているぞ!
ルアーフィッシングは、釣り人が竿にアクションを加える必要があるため、操作性を良くするために、自重が軽く、全長が短く設計されています。下の写真は、ルアー用ロッドです。
餌釣りは、アクションを加える必要がありません。そのため、ヒット時に魚を取り込む確率を高くするために、長く太く柔らか目に設計されています。下の写真は、餌釣り用の竿です。
狙う魚の違いは、主にルアー用ロッドで細分化されています。
ターゲット魚種の力が強いほどロッドが固く設計されています。
硬いほど、使用できるルアーを重くすることができますが、軽いルアーをキャストすることはできません。
逆に、ロッドが柔らかいと軽いルアーを投げることができるようになります。
釣りをする場所の違いは、餌釣り用の竿で細分化されていることが多いです。
磯竿は、足場の悪い場所の釣り向けに設計されています。磯は、竿が短いと、魚を引き寄せた時に道糸が岩などに触れて切れてしまう可能性が高くなります。そのため、全長が長く設計されています。
投げ竿は、仕掛け全体を遠くに飛ばすために、磯竿に比べて硬めにできています。
堤防竿は、足場のいい場所でやる釣りを想定しています。初心者が使うことが多いため、操作性を良くするために、全長が短く硬めに設計されています。
穴釣り竿は、岸近くの岩の隙間やテトラポットの隙間の魚を狙う時に使います。足元で取り回ししやすくするため、全長が非常に短くなっています。
釣り竿選びの基本
長さの違い
ルアー用ロッド、餌釣り用竿、いずれも、使いやすさを左右する大事な仕様が長さです。
長い竿のメリットは、遠投性能が高いこと、及び堤防際のファイトがやりやすいことがあります。逆に、デメリットは、自重が重くなるため疲れやすいこと、狭い堤防だと取り回ししづらいこと、などがあります。
短い竿は、長い竿の逆の特徴があると考えてもらえば大丈夫です。
餌釣り用の竿は、以下の写真のように㎝単位で長さが記載されています。ルアーフィッシング用ロッドは「ft」という単位が多いです。1ftは約30㎝と考えてください。
筆者は、餌釣り用の竿は3.6mと4.5mの2本をメインで使っている。基本は疲れにくい3.6mの竿、かご釣りや飲ませ釣りで少しでも遠投距離を稼ぎたいときは4.5mの竿、と使い分けているぞ!
硬さの違い
竿の硬さは、ルアー用と餌釣り用で表記方法が異なります。
ルアー用は、柔らかい順に、UL/L/ML/M/MH/H/XH、と表記されます。メーカーごとに表記ルールは若干異なりますが、シマノとダイワは概ねこのルールです。
ここで注意してほしいのは、同じMであってもメーカーやシリーズによって硬さが異なることです。硬さ表記は、同じメーカーの同じシリーズの相対値です。
そのため、ロッド選びでは、パッケージに記載されている「適正ルアー重量」を確認するようにしましょう。
堤防から中型以上の魚を狙う場合、使用する機会の多いルアーは15~65g程度です。この範囲をカバーできるロッドであれば、堤防からやる大部分のルアーフィッシングに対応できます。
ルアーの適正重量は、写真のように最大値しか記載されていないものと、最小値まで記載されているものがあります。
硬すぎると軽いルアーのキャストができないため、最小値も重要です。
例えば、最大値が80gのロッドであれば、最小値は30~40g程度です。適正重量の最小値は最大値の1/2~1/3程度、と考えれば概ね間違いありません。
【ワンポイント】L/M/Hは大まかな基準
硬さを表すL/M/Hという記号は、シリーズ毎の相対値です。
では、アジングロッドのHとか、ショアジギングロッドのLがあるか、というとそういうわけでもないです。
筆者が釣具店で確認した限り、アジングロッド・シーバスロッド・ショアジギングロッドとして売られているものは以下の硬さがラインナップされていることが多い気がします。
(※)△は、商品としてあるが、釣具店であまり見かけない硬さ
しかし、同じメーカーだからといって、シーバスロッドのMとショアジギングロッドのMが硬さ的に同じというわけでもないです。
要は、このL/M/Hという記号は、同一メーカー同一シリーズの中で硬さを大まかに判断するものであって、絶対的な硬さを表すものではない、と考えてください。
各記号に対する適正ルアー重量のおよその中央値を載せておきます。メーカーやシリーズによって若干前後しますが、ロッド選びの参考にはなると思います。
2023年現在、100均で売られているルアーは40g以下のものしかない。釣具店にはそれ以上の重量のルアーも多数あるが、よっぽど潮流が早い場所でなければ最大40gが投げられれば、ほとんどの堤防で通用するぞ!
餌釣り用は、柔らかい順に、1号~5号で表記されます。
パッケージに記載されているよく見かける表記方法は、「2-400」「3-530」などです。2-400であれば、硬さが2号、長さが400㎝を表しています。
中には、号数ではなく「重り負荷」で硬さを暗示している竿もあります。重り負荷が大きいものほど、硬い竿ということになります。
餌釣り用の竿についても、同じ3号だからといって、すべての竿の硬さが同じわけではなく、同じシリーズの竿の中の相対値と考えてください。
太さの違い
太さは実はあまり気にする必要がないパラメータです。
釣り始めたてだと、細い竿を見ると頼りなく見えます。しかし、実際に使ってみると、細い竿の方がパワーがなくて折れやすい、というものではありません。
太さは、全長が長くなるほど太くなる傾向があります。太さを基準にするのではなく、長さを基準にして竿を選ぶようにしましょう。
並継タイプか振出タイプか
これは、片付けのしやすさに関係します。
ルアー用ロッドは、ほとんどが並継タイプとなっています。並継タイプは、竿が中央で分離される2ピースタイプがほとんどです。仕舞寸法は、竿全体の長さの半分になります。
餌釣り用竿は、ほとんどが振出タイプとなっています。竿は空洞になっていて、細い部分を太い部分の空洞に仕舞い込んでいく仕組みです。
竿の素材と重さ
竿の素材は、ある程度釣りの経験を積んだ人が注目するポイントです。
釣具店で売られている釣り竿の素材は、グラスかカーボンです。同じ魚をターゲットにする釣り竿であれば、価格はほぼこの素材で決定されます。
素材は、竿の外観を見てもわからないため、パッケージの表面に記載されている仕様を確認する必要があります。
素材は、グラス100%、またはカーボン100%、さらに混合されているものがあります。カーボンの含有率が高いほど、価格が高く、自重が軽くなる傾向があります。
ショアジギングロッドのように、竿全体を激しく操作する必要がある釣りでは自重が軽い方が釣りがやりやすくなります。
しかし、タコ竿やエギングロッドのような重量が軽いものや、餌釣りで使う激しい操作をする必要がない竿であれば、カーボン含有率をあまり気にする必要はありません。
釣り竿選びの意外なポイント
ガイドの数とサイズ
ガイドの数とサイズは、使い始めて違いに気が付くことが多いです。
全長に対してガイドの数が少なくガイドサイズが大きい竿は、ガイドと道糸の摩擦を減らすことができます。
投げ竿のようなキャストする距離を稼ぎたい竿は、ガイドの数が少ないものが多いです。
ガイドが多くガイドサイズが小さい竿は、個々のガイドに掛かる力が分散されやすくなり、道糸に掛かる負荷が竿に伝わりやすくなります。
そのため、ガイドの数が多いほど、竿の本来の性能を発揮しやすくなると言えます。
イメージしにくければ、試しにガイドが1個しかない竿を想像するとわかりやすいぞ!
磯竿は、グレ狙いで使うような繊細な釣りをする目的で、ガイドの数が多く、竿全体が柔らかく設計されています。
下の写真で、上の竿が磯竿、下の竿が投げ竿となっています。
磯竿はガイドが多く小さめで、投げ竿はガイドが少なく大きめとなっていることがわかると思います。
竿尻からリール固定部の長さ
この竿尻からリール固定部の長さは、釣り竿を選ぶときに必ずチェックしてほしい項目です。
これを言いたかったために、この記事を書いたといっても過言ではないくらい、筆者は竿選びの重要な項目と考えているぞ!
中型以上の魚がヒットしたとき、手首の力だけで魚を引き寄せるのは無理があります。そのため、竿尻を脇や股に挟んで、てこの原理で魚を引き寄せるのが普通です。
特に、餌釣り用の竿は注意が必要で、一部のものは、この長さが短すぎて脇に挟むことが難しいものがあります。
2023年現在、100均で売っている釣り竿は、この長さが短すぎるものが多いです。また、釣具店に置いてあるものでも、脇に挟むには微妙に短いものもあります。
竿を買う時は、手で持つだけでなく、必ず脇に挟んでリールを巻いた時に違和感がないかどうかを確認しましょう。
竿の付属品
竿を買ったら、付属品もそろえていきましょう。
まず、竿尻に付けるベルトです。これは、待ちの釣りで陸にある重量物につなげることで、大物が掛かった時に竿が持っていかれるのを防ぐために必要です。
筆者は、餌釣り用の竿にはすべてつけるようにしています。ただし、ルアーフィッシング用の竿は、飲ませ釣りで使うのでなければ、あまり必要ないです。
竿を複数本持ったり、タモの柄などを買うと、それを持ち運ぶためのロッドケースが欲しくなってきます。
下の写真は、筆者がAmazonで購入したソフトタイプのロッドケースです。
リールを付けたままでも2本収納することができて、さらにタモの柄や小物も一緒に入れることができます。
底部分の耐久性がいまいちなので、筆者は100均などで売っている靴底などを入れて補強しています。
初めて釣り竿を買う人
何でも釣れる万能の竿
結論から言うと、堤防からの釣りに絞ったとしても、あらゆる釣りを一本の竿でやるのは無理があります。
そうはいっても、今から釣りを始める人が、やりたい釣法の数だけ釣り竿を買う、というのも現実的ではありません。
釣り始めたてだと、餌釣り用の竿でルアーフィッシングができないかと考える人もいます。
しかし、お金を掛けずに高釣果を出すことを信条としている筆者でさえ、餌釣りとルアーで竿を共用するのはお勧めしません。
そこで、今から釣りを始めたい人を以下の二つのパターンで分けて、お勧めをそれぞれ一本だけ紹介しておきます。
最初の一匹に早く会いたい人
釣りを始める人はほとんどがこちらのタイプだと思います。このような方は、餌釣りをお勧めします。
餌釣り用の竿は、初心者用のセット物でも十分に使えます。
実際、筆者は初めて買った釣り竿セットのうち、竿だけは今でも現役で使っています。
セットの中に含まれるリールは、数回の釣行で壊れてしまうことが多いです。それに対して、セットの中の竿は、丈夫なものが多く、丁寧に使えば、何年も使うことができます。
セット物ではなく、もう少し本格的なものが一本欲しいのであれば、投げ竿をお勧めします。
投げ竿は、磯竿に比べて短めですが、頑丈にできていて、多少雑に扱っても簡単には壊れません。また、有名メーカーでも、10,000円以下で購入できるお手ごろさも魅力です。
上級者向けに、数万円するものも売っていますが、そのような高価なものは必要ありません。
筆者が現役で使っている、ダイワのリバティクラブの投げ竿を紹介しておきます。
最初からルアーフィッシングがやりたい人
いきなりルアーフィッシングをやりたい人は、少数派かもしれませんがいると思います。
釣りの基本を知らない状態で、一人でルアーフィッシングを始めても、最初の一匹に出会うのはなかなか難しいものです。
釣りの上手な友人に連れて行ってもらいましょう。
ルアーフィッシングで最初の一本を選ぶのであれば、シーバスロッド、または柔らか目のショアジギングロッドをお勧めします。
堤防から魚を狙う場合、15~40g程度のルアーに適性があるロッドだと、小型と超大型の魚以外は、ほとんど対応できます。
この重さのルアーに適性があるロッドは、シーバスロッド、または柔らか目のショアジギングロッドになります。
一般的に、シーバスロッドがルアー用ロッドの中で万能と言われます。これは、このロッドが中間的な硬さであり、比較的幅広い魚種に対応できるためです。
また、柔らかめのショアジギングロッドは、釣具店によっては「ライトショアジギングロッド」と表記され、適正ルアーは10~60g前後です。
初心者のうちは、大は小を兼ねるの考えで、ついHやXHなど硬いロッドに手を出してしまいがちだ。しかし、堤防でやる限り、硬いロッドが必要なケースは意外と少ない。むしろ、疲れにくく投げやすい、柔らかいロッドを選ぶのがお勧めだ!
なお、インターネット上の記事を見ると、最初の一本に「エギングロッド」をお勧めしていることも多いです。これも、中間的な硬さという意味ではシーバスロッドと同じ理屈で万能と言えます。
ただ、エギングロッドは竿尻からリール固定部の長さが短く細いため、脇に挟みながらロッド操作をする釣りには向いていません。
特に青物をメインターゲットにしたいのであれば、ライトショアジギングロッドがお勧めです。
ちなみに、筆者が使っているメジャークラフトのSOLPARA SPX-962LSJは、適正ルアー重量が20~60g、値段は10,000円前後と手ごろです。
LSJという表記は、おそらく「ライトショアジギング」の略で、シマノやダイワのショアジギングロッドでM相当の硬さと考えてください。
太刀魚からメジロまで釣りあげていて、初心者が最初の一本として買うのにもお勧めできます。
より高度なルアー用ロッドの特性や選び方は、下の記事でまとめていますので、こちらも参考にしてください。
ルアーフィッシングの実釣記録をいくつか紹介しておきます。
100均の釣り竿は使える?
2023年現在、大手100均ショップである「ダイソー」「セリア」「キャンドゥ」のうち、釣り竿を扱っているのは、ダイソーとキャンドゥです。
筆者は、このうちダイソーの餌釣り用の竿だけ購入したことがあります。
購入直後であれば問題なく使えるのですが、問題は耐久性です。一回目の釣行後からガイド部分にサビが発生しました。
すべての商品を確認したわけではないですが、筆者としては、2023年現在、100均釣り竿は避けた方がいいという見解です。
100均釣具は日進月歩のため、今後の商品開発に期待しましょう。