初めに
狙う魚によって仕掛けが違うのはなんで?
それぞれの魚の捕食方法が異なるためです。捕食方法に合わせて、仕掛けをどのように作ったらいいか解説します。
釣具店の奥の方に行くと、魚種毎に大量に展示された専用の仕掛けが置いてあります。それらは、それぞれの魚の特性に合わせて最適化された釣具です。
ここで言う特性というのは、捕食方法になります。
我々人間は、前歯で食べ物を噛んで、口の中で細かくして飲み込みますが、これはすべての動物共通ではありません。海にいる生物は、それぞれ捕食方法に個性があります。
この記事では、堤防から釣れる魚の捕食方法をタイプ別に分けて、最適な仕掛けの根拠を解説していきます。
専用の仕掛けは魚種ごとに違う
ある程度釣りに慣れてくると、魚種によって口の形が全然違うことがわかってきます。すぐにわかる違いは、
- 口の大きさ
- 鋭い歯があるかないか
ではないでしょうか?
手を使うことができない魚なので、丸ごと食べるか噛みつく必要があります。
口の大きさよりも小さい餌を捕食する魚は、丸ごと食べることができます。それに対して、口よりも大きい餌を捕食する魚は、噛みつく必要があるわけです。
魚を釣るためには、針をどこかに引っ掛ける必要がありますが、必ずしも口の中である必要はありません。
長年の研究を通じて、専用の仕掛けは、捕食時に最も針が引っかかりやすく外れにくい構成となっています。
魚の捕食方法
捕食方法をタイプ別に分ける
釣った魚の口をよく見ると、口が大きいもの、歯が鋭いものなどがいることがわかります。
また、イカやタコなどの軟体動物系は、その体の特性を生かして、いきなり口を使うのではなく、体全体で餌を捕獲してからゆっくり食べる習性があります。
このように、魚種によっていろいろな捕食方法があるわけですが、捕食の特性を考えると、釣りの仕掛けをどうするべきかが見えてきます。
捕食方法を筆者流に分けると以下の4タイプがいます。
- 丸飲みタイプ・・・青物、メバル、カサゴ
- 吸い込みタイプ・・・鯛、グレ、カワハギ、ウマヅラ
- 噛みつきタイプ・・・太刀魚、カレイ
- 抱きつきタイプ・・・イカ、タコ
以降の章では、この4タイプに対して、どのようにしたら釣り針のヒット率を上げられるのか、詳しく解説していきます。
丸飲みタイプ
このタイプは、他のものに比べると、仕掛けの細かい違いで釣果が大きく変わることはない気がします。
強いて言えばですが、丸飲みする前に咥えるだけの場合もあるため、口の外側から引っ掛ける目的で、孫針やアシストフックを付けて針掛かりをよくすることがあります。
ルアーの場合、フックは、頭側と尻尾側、及び胴体中央に付けることがあります。下の写真は、超有名人気プラグのダイワのセットアッパーです。
ブリ系などは頭側から捕食する傾向がありますが、尻尾側から捕食する魚もいます。そのため、ルアーの動きが悪くならない限り、フックの数が多い方が掛かりやすいと言えます。
下の写真は、シマノのサイレントアサシンです。このプラグは、全長が125㎜あるため、針掛かりを上げるために前後だけでなく、中央にも針が付いています。
吸い込みタイプ
このタイプは、仕掛けの微妙な違いが釣果に大きな影響を与えます。
このタイプの魚は、口が小さいことが多く、捕食する餌を見つけると周りの海水ごと吸い込もうとします。
このとき、魚に違和感を与えずにスポっと口に入れられるかどうかが、ヒットするかどうかの決め手になります。
できるだけ違和感を与えないためには、ハリスを細くしたり、針を小さくするひつようがあります。しかし、サイズを下げたら、その分針掛かりが悪くなったり、強度が落ちたりします。
サイズ調整はいろいろなメリット・デメリットがあり、当日の天気や活性にも左右されます。そのため、初心者と経験者で特に釣果に差が出やすいのが、このタイプの魚と言えます。
概して、初心者は針のサイズが大きすぎることが多いです。適切な針サイズを確認したければ、釣具店にある魚種名が付いたバラ売りの専用針を確認するのがお勧めです。
例えば、グレ針の5号とチヌ針の5号を比較すると、グレ針の方が極端に小さいです。
バラ売りの針を見れば、その魚が小さめの針で釣れるのか、大きめがよいのかが判断できます。
噛みつきタイプ
このタイプは、捕食の一撃目で、鋭い歯を使って餌の真ん中あたりに噛みつきます。
太刀魚の場合は、一撃目の噛みつきのタイミング直後、周辺にある仕掛けの針に体の外側から引っ掛けて釣りあげます。
そのため、針の数を増やして、少しでも針掛かりを良くする仕掛けを考える必要があります。
ただ、テンヤの場合、針掛かりを良くしようと、前方や後方にトレブルフックをアシスト用で付けることもあるのですが、不思議と太刀魚は赤丸部分のメインフックにしか掛かりません。
カレイの場合は、噛みついたら身動きを取らずに、ゆっくりと少しずつ飲み込もうとします。飲み込んでいる最中に、少しでも違和感があると放してしまいます。
抱きつきタイプ
このタイプは、口の中に針を入れて釣りあげることはまずありません。抱きついたら、近くにある大きい針で胴体の一部を貫通させて釣りあげます。
下の写真は、タコ用のテンヤです。白い部分に、イワシや豚肉などを固定して、タコがそれに抱き着いたタイミングで、後方の大型の針をタコの胴体に引っ掛けます。
軟体動物は、引っ張られる方向と逆に逃げようとするだけなので、一度胴体を貫通させれば、糸のテンションを緩めない限り外れることはほとんどありません。
釣り人が仕掛けに細かい工夫をする必要はなく、釣具店にある餌木やテンヤをそのまま使うのが一番確実です。
ちなみに、餌木の後ろについている針(カンナ)に返しが付いていないのは、イカやタコが左右に暴れるような複雑な動きをしないため、テンションを緩めない限り外れる可能性がほとんどないからだ!
最後にまとめ
今回紹介した4タイプですが、釣具店にある魚種毎の専用の仕掛けは、それぞれの性格に合わせて作られています。
特に、ルアー、餌木、テンヤについては、評判のいいメーカーの商品をそのまま使っていれば、ほぼ間違いありません。
筆者のように、よっぽど自作にこだわりがない限り、有名メーカーの商品を説明書に記載の通りに使うのが、一番釣果が良くなるはずだ!
吸い込みタイプは、針とハリスに微妙な工夫をして魚と駆け引きをする必要があるため、釣りの経験値が釣果に大きく影響します。
水温が低くなってから狙うグレなどは、どのようにして釣り人が活性の低い魚の警戒心を解いて針を吸い込ませるのか、ゲーム性があって面白いです。