初めに
かご釣りで使う「遠投かご」ってたくさんあるけど、どれがお勧め?
このような読者の方向けに、筆者が実際に使った経験のある遠投かごのレビューをまとめました。
遠投かご釣り釣法を好む筆者は、その仕掛けの中の重要な道具である「遠投ウキ」「遠投カゴ」は今まで様々なものを試してきました。
以前、この書きだしで遠投ウキの特集をまとめました。
今回は、残りの宿題となっていた筆者が使った経験のある遠投かごに対して実釣で感じた良い点と悪い点をまとめて、これから買ってみようと考えている読者の皆さんのお手伝いをしたいと思います。
なお、いずれの遠投かごに対する感想も、筆者個人が感じたものです。たまたま、購入したものの個体不良もそのまま正直に書いていますので、その点ご了承ください。
買ったらダメな遠投かご
釣具店で売られている遠投かごですが、大手から小規模釣具メーカーまで様々なものが販売されています。
値段はどの商品も1,000円前後するため、ハズレを引いた時の精神的ダメージはなかなか大きいものがあります。
しかし、明らかに使いにくいと思われる遠投かごが普通に釣具店に置いてあります。
かご釣りが好きな筆者だが、今まで2,3個ハズレを買ったことがあるぞ。
さて、買ってはダメな遠投かごですが、
- ふたをゴムで閉めて固定する仕組みがないもの
これが筆者の考えるハズレの遠投かごです。
遠投かごと言うくらいなので、遠投竿を使って最大50mくらいキャストする使い方をしたいところですが、ふたを締める仕組みがないと着水直後に撒餌が出てしまうか、最悪キャスト途中の空中で散乱してしまいます。
特に、着水前の空中で撒餌が散乱してしまったら、かごを使う意味がありません。
中には、商品がプラスチックケースに入って触って確認できないものもあります。店員さんにお願いして、商品を開けてもらい、ゴムで閉める仕組みがあることを確認してから買いましょう。
今回紹介する3種類の商品は、いずれもゴムでかごを閉める仕組みがあるものとしています。
遠投かごの比較
遠投かご一覧
メーカー | 餌の入れやすさ | かごの開閉 | 耐久性 | 価格(8号) | |
---|---|---|---|---|---|
遠投シャトルテンビン付 | YAMASHITA | 〇 | × | △ | 1200 |
遠投レッドカーゴ | ウメズ | △ | 〇 | 〇 | 1000 |
ロケット2段式 | KAIKO | ◎ | ◎ | 〇 | 900 |
※価格は、本記事作成時点における通販や関西近郊の店頭価格を参考にしましたが、時期や店舗によっては若干異なる場合がありますので、その点ご了承ください。
今回紹介するかごメーカーは3社としています。筆者の考える、それぞれのメーカーの特徴は以下の通りです。
遠投シャトルテンビン付(YAMASHITA)
YAMASHITA製のかごで、筆者が店頭で見たことがあるものは2種類あります。
一つは、プラスチックケースに入っているもので、ふたを閉めるためのゴムが付いていません。
もう一つがこの商品で、ふたの上に2つのゴムが付いていて、これを上下させることでふたを閉めることができます。
筆者が初めて使った遠投かごで、グレをかなりの数釣らせてもらいました。
ただ、この商品のゴムですが、かごを閉じて固定し着水後に水圧で開かせることを想定しているのではなく、単にかごの開く幅を調整するためにあるようです。
以前この商品を買った時は、着水後にふたが開いてくれたのですが、最近買ったものはゴムが固く、着水後にふたが開くことはありませんでした。
筆者が一番お勧め、と言いたいところだったのですが、残念ながら超おすすめとは言えなくなってしまいました。
このふたを閉めるゴムの考え方は、この記事の最後に詳しくまとめておきました。
遠投レッドカーゴ(ウメズ)
ウメズ製の遠投かごで、色違いで黒と赤があります。
他のメーカーのかごと違い、かごの中央を通過する金属が曲がるワイヤーとなっています。
このワイヤーですが、長さが短いため、ふたどうしを完全に離すことができません。そのため、若干餌が入れにくい欠点があります。
ふたの上についている固定するためのゴムは、手で簡単に上下させることができて使いやすいです。
ただ、このゴムですが、何回か使っているうちに劣化して壊れてしまいます。ゴムが壊れたら、ビニールテープで補修すればある程度継続して使えます。
筆者が愛用していて、初めての方には同じウメズから提供されている遠投ウキと一緒にお勧めしたい商品です。
ロケット2段式(KAIKO)
KAIKOという会社は、大分県にある釣具メーカーで、特にかごに力を入れている会社のようです。
かごの値段ですが、他のメーカーに比べると2割程度安く提供されています。
ふたの上に付いているゴムは、キャスト中にはふたを固定し、着水後にふたが開くほどよい摩擦に調整されていて、キャスト中に撒き餌が散乱したり、着水後にふたが開かなかったりすることがほとんどありません。
その他の特徴として、重りの交換ができるというところもポイントです。他のメーカーの商品は、一度買ったら重り負荷を変えることはできません。
餌入れもやりやすいです。特に、シラサエビなどの生き餌を入れる時は、かごに入れる前に何匹か逃げ出して苦労することがありますが、このKAIKOのかごは工夫次第で無駄なくシラサエビをかごに封入できます。
今回紹介するかごの中では、価格含めてあらゆる点で優れたかごで、読者の皆さんが今からかご釣りを始めるのであれば、ぜひこの商品を選択してほしいです。
メーカーの遠投かごに対する考え方
記事の冒頭でも書いた通り、買ったけど使いにくい遠投かごは意外と普通に釣具店に置いています。
もしかしたら筆者の使い方が間違っているかもしれないので、この記事を公開する前に、着水後に開く仕組みを持っていないかごをどう使ったらいいか、念のため自分の懇意にしている釣具店に確認してきました。
その結果、遠投かごには大きく分けて以下の3種類の考え方があることがわかりました。
- かごを閉じた状態で固定する仕組みがない。
- かごの開く幅を調整する仕組みがある。
- かごが着水後開く。
今回紹介した3種類のかごですが、遠投シャトルテンビン付(YAMASHITA)は2、遠投レッドカーゴ(ウメズ)とロケット2段式(KAIKO)は3、という設計思想で製造されているようです。
1,2のタイプのかごですが、以下の図に示す理屈で着水地点まで撒き餌を届かせることをイメージしていると思われます。
青矢印はキャスト方向、赤矢印は撒き餌に掛かる遠心力を表しています。遠心力が掛かる方向には撒き餌は出ていかないため、撒き餌は着水地点まで届くだろう、という考え方です。
しかし、撒き餌が入る上蓋は、重りが入っている下蓋に比べて遠心力が小さいため、上蓋が固定されていないかごのキャスト時は、以下のような動きをすると考えられます。
このように、キャスト方向に対してかごの上下が逆転するタイミングで撒き餌が散乱するのがわかると思います。
これを防ぐには、集魚剤などを使って撒き餌全体に粘り気を出すという考え方もあります。
しかし、集魚剤なしでオキアミだけを使う場合や、シラサエビを撒き餌として使いたい場合には、途中で散乱するのを防ぐことは原理的に無理です。
以上の理由から、今回紹介した遠投かごのうち、遠投レッドカーゴ(ウメズ)とロケット2段式(KAIKO)のように、着水まではふたが固定されて、着水後に水圧で開く仕組みのかごを使うことを、あらためてお勧めしたいと思います。