初めに
釣具店にあるウキっていっぱいあるけど、何が違うの?使いどころは?
こんな釣り初心者の悩みにお答えします。
初めてやる釣りはサビキから始めることが多いので、ウキは初心者のうちから触れることの多い道具の一つです。しかし、ある程度経験を積むと、釣具屋にあるウキコーナーには何百種類の異なる性質を持つものがあることに気が付きます。
それらは、形が違うものや、0とか2BとかGとかわかりづらい記号が書いてあったり、色が違ったりするものがあります。この微妙な違いは何のためにあるのでしょうか?それぞれのウキを使った時に、魚から見たら餌はどのように見えるのか、図解をしながら適切なウキの選択方法を解説します。
ウキの種類
皆さんはウキ釣りをするときに、水中で付け餌がどのように漂っているのか考えたことはあるでしょうか?自分が魚の立場に立って考えたらわかると思いますが、魚も釣られたくありませんので、見るからに怪しそうな餌には寄ってきません。
極端な例ですが、下のような3パターンの餌が水中で漂っていた時、魚はどの餌を一番食べてくれるでしょうか?
警戒心の高い魚は、少しでも怪しいと感じる餌には近づいてきません。餌の近くに重りやハリスが見えたり、餌が明らかに潮流と異なる動きをしていたら食べてくれないわけです。
できるだけ怪しまれない動きをさせること、及び人間から見た時の視認性、当たりの検知のしやすさ、これらのバランスをとって、目的の魚を釣るために最もふさわしいウキを選ぶことになります。
形状
大きく分けると棒型と卵型があります。棒型の方が大きく視認性がいいです。それに対して卵型は、小型で視認性は落ちますが波や風の影響を比較的受けにくく、微妙な当たりを見つけやすいメリットがあります。
棒型のものは、比較的太めのものから鉛筆のような細さのものまであります。さらに、羽根が付いているものもあり、それらは遠投しやすくなっています。道糸はウキの先端にある穴の中に通します。
卵型のものは、道糸をウキの中に通す中通しタイプとなっています。大きさは、ウズラの卵くらいのものから、鶏の卵くらいの大きさのものまであります。
色の違い
最も普通の色がオレンジです。太陽の光が当たっても他の色に比べて見やすいです。次によく見かける色は黄色です。その他、白ベースのものなどもあります。
個人的には、特にこだわりがなければオレンジ1択でいいと思います。実際、釣具屋で見かけるものは半分以上がオレンジ基調となっています。
適合重り号数
ウキの下に付ける重量によって、そのウキは横たわったり立ったり沈んだりします。人間が見た時に、最も視認性良く立った状態になる重量が適合号数になります。この重量ですが、重りだけではなく、餌や途中にあるスナップなどの重量も加味する必要があります。
水面が穏やかであれば、できるだけ適合号数が小さいウキを使うことで、より餌の動きが自然に近いものになって釣果が出やすいと言われています。
逆に、波や風がある程度強いときは、ウキや餌の動きを安定させるために、適合号数の大きいウキを使うことになります。
適合号数といってもある程度範囲に余裕がありますので、例えば私の場合は適合号数が8号のウキであれば、重りは5か6号を付けることが多いです。特にカゴ釣りや泳がせ釣りなど仕掛けに重量物がある場合は、重りを少なめにしないとウキが沈んでしまいます。
【ワンポイント(適合号数の読み方)】
初心者の頃に混乱するのが、ウキに書いてある適合号数の解釈の仕方です。適合号数には大きく分けて4種類の表記があります。
- 1以上の数字で描かれた無印の号数
- Bの記号で描かれた号数
- Gの記号で描かれた号数
- 0または00または000と描かれた号数
1は一般的な重りの号数を表しています。
2はガン玉のサイズを表しています。一般的な重りよりも1個当たりの重さはかなり軽いです。例えば、2Bと表記されていれば適合号数はガン玉2Bになります。
3はジンタンのサイズを表しています。1個当たりの重さはガン玉よりもさらに軽くなっています。
4はいずれも重りを付けないウキ単体の状態でギリギリ水面に頭を出すことを表しています。0が多いほど沈みやすくなります。
基本的に1のタイプのウキを選びましょう。それ以下の微妙な浮力のウキは、フカセ釣り以外ではほとんど使いません。
自立タイプと非自立タイプ
この自立タイプか非自立タイプは、初心者の方に特に意識してほしい項目です。
サビキ釣りで使うような500円以下の安いウキは、ほとんどが非自立タイプとなっています。非自立なので、要は何も付けずに水の上にウキを置いたら倒れてしまうタイプになります。ウキを立たせるためには、その下に一定以上の重さの重りを付ける必要があります。
それに対して、自立タイプはウキそのものに重りが付いていて、ウキ単体で水面で立つことができます。また、自重があるので、遠投にも向いています。小型の卵型のウキのほとんど、及び棒型の一部がこの自立タイプとなっています。
自立タイプは若干値段が張りますが、中間地点に重めの重りを付けなくても立つことができるので、特にフカセ釣りなどの繊細な釣りをする場合にお勧めします。
【ワンポイント(自立ウキの自作)】
仕組みさえわかれば、少し加工することで非自立ウキを自立ウキにすることができます。下の写真はダイソーの3号の棒ウキです。そのままだと水面に横たわってしまいます。
この棒ウキの先端にリングを使って重りをつなげます。ウキの適合号数は3号ですが、その他の仕掛けの重さを考慮して一つ落として2号の重りを使います。
これで水に浮かべてみると、自立ウキと同じように単独で水面に浮かせることができます。このやり方は、他の形をした非自立タイプのウキにも応用することができます。
この方法には一つ注意があります。ウキの先端部分はそもそも重りなどの重量物を付ける前提で設計されていないため、重りで負荷をかけすぎると先端部分の金属が壊れてしまうことがあります。
高価なウキではなく、100均やサビキ用の比較的安価なウキに対する一時的な対策としてやってみてください。
昼間用と夜釣り用
小型の電池を入れることで、中に入ったLEDが光るウキを「電気ウキ」と言います。
LEDが入っていないものでも、ケミカルライトを取り付ける穴があって、その穴にケミカルライトを差し込むことで夜釣りでも使えるタイプもあります。
ケミカルライトには、25,37,50,73㎜の4種類がありますが、ウキによって付けることができるサイズが決まっています。下の写真は50㎜に対応したウキになります。
私はこの電気ウキに関しては以前から不思議に感じているのですが、電気ウキには点灯する仕組みがあるにもかかわらず、通常のウキと値段の差があまりありません。
そのため、夜釣りを当面する予定のない方でも、数百円の値段の差を気にしないのであれば初めから電気ウキを買うのをお勧めします。電気ウキであっても、電池を外せば昼間でも普通のウキとして使うことができます。
最後にまとめ
筆者は初心者の頃、
ウキは大きくて適合号数が大きいほうがいい!
と思っていました。適合号数が大きければ、大きめの重りを付けることができて遠投しやすい、と考えていたからです。
しかし、上手な人を見ると、大概の方は小型の適合号数の小さいウキを使っていることが多いことに気が付きました。当時はそのメリットをよく理解できませんでしたが、水中をイメージするとそのメリットが理解できます。潮流がほとんどなく水面が穏やかであれば、できるだけ繊細なウキを使ってみたいところです。
ただ、あいにく筆者のホームグラウンドである明石海峡周辺は潮流が激しいところが多く、波に負けないように結局大型のウキで釣りをすることが多いです。それでも、アジやサバなどの大雑把な性格の魚はちゃんと食べてくれます。
食いが渋いときや、グレやチヌなどの中級者以上向けの魚で釣果を上げたくなったら、繊細なウキを使うことで釣果が変わるかもしれませんので、その日の状況に合わせて読者の皆さんも変えてみてはいかがでしょうか?