初めに
たくさんトレブルフックあるけど、性能の違いは?
100均のトレブルフックは使えるの?
こんな疑問を持っている方向けに検証をしてみました。
ルアーフィッシングをやる人は、魚に一番近い道具であるフックにはこだわりを持つのではないかと思います。私は、できるだけ安い道具で大きな釣果を得たい、と考えるタイプなので、道具には基本的にお金を掛けません。しかし、フックは私の中では数少ない高級品にこだわる道具の一つです。
過去に何度か廉価版のフックを使ったことがあったのですが、錆びが気になって、結局今はがまかつに落ち着いています。やはり天下のがまかつ、安心感が違うと同時に、これを使っているとばらした時にフックを言い訳にすることができません。
最近は100均でもトレブルフックが売っています。安いものは品質もそこそこ、と考えていましたが、検証したわけではありませんでした。今回の記事では、廉価版のトレブルフックは本当に品質もそこそこなのか、それとも価格以上の実力があるのか、検証してみました。
廉価版トレブルフックの比較
検証対象
- ダイソー よく釣れる釣具シリーズ トレブルフック KI-21-10 4号
- Azzuro TRIPLE AZ-56 4号
- Major Craft JPT-4X TREBLE HOOK 4号
- OWNER ST-36TN STINGER TREBLE 4号
- がまかつ TREBLE RB MH 4号
廉価版トレブルフックはいろいろな種類がありますが、今回選んだのは有名どころのメーカーで比較的手に入れることが容易なものとしました。大きさは私がルアーフィッシングで一番よく使う4号としています。公平に検証するため、対象のフックはすべて同じ日に店舗で購入しました。
ダイソーのトレブルフックには、よく釣れる釣具シリーズではなくサードパーティ製のトレブルフックもあります。このサードパーティ製のフックはもっと単価が安いのですが、ここ最近ダイソーはよく釣れる釣具シリーズの方に力を入れているようで、このサードパーティ製は数が減ってきているような気がします。そのため、今回の検証はよく釣れる釣具シリーズのものとしました。
Azzuroは関東の方はあまり知らないと思いますが、これは関西を拠点とする大手釣具店フィッシングマックスのオリジナルブランドです。
がまかつも今回の検証対象に入れています。これは、高級品の実力を見たいため、あえて検証対象に加えています。
安くて品質に定評のあるマルトのフックも入れたいところでしたが、一般の釣具店で売っておらず、他のフックに比べると入手しづらいため対象外としました。
価格
- ダイソー 110円(3本入り、単価37円)
- Azzuro 380円(6本入り、単価63円)
- Major Craft 480円(5本入り、単価96円)
- OWNER 585円(7本入り、単価84円)
- がまかつ 765円(6本入り、単価128円)
価格はすべて消費税込みとしています。
ダイソーとAzzuroの単価がかなり安いです。MajorCraftとOWNERは、単価で計算してみると格安とは言えないかもしれません。
こうして計算してみると面白いことが分かったのですが、MajorCraftは、6本以上で売っているメーカーが多い中、5本入りで売っています。これは、店舗に並んだ時の見かけの表示価格を安く見せる戦略かもしれません。
全体の形状
ダイソーです。他のメーカーに比べると丸みを帯びています。また、軸の太さは他のメーカーのものに比べると若干細く見えます。
Azzuroです。色合いはダイソーと似たような感じです。フックの曲線が少しとがった形になっています。
MajorCraftです。ダイソーやAzzuroと明らかに光沢が違います。メッキ加工のやり方が異なると思われます。あと、よく見ないと気が付かないのですが、3本の針をまとめる胴体の部分が他の4種と比べて短いです。
OWNERです。色合いは、ダイソーやAzzuroに近く、針の丸みはダイソーとAzzuroの中間くらいになっています。
がまかつです。メッキ加工や軸の太さが他とは違うのがわかります。今回は私がよく使うMHを検証に選んだので、もしMであれば、太さは他のメーカーと同じくらいかもしれません。
針先
ダイソーです。針先が甘いのかと思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。ただ、やはり軸が若干細めです。
Azzuroです。針先は全く問題はなさそうです。
MajorCraftです。こちらも針先が甘いような感じはしません。光沢がある分、より鋭く見えます。
OWNERです。写真が若干ぼけているせいかもしれませんが、前述の3メーカーに比べて針先が鈍いように見えます。ただ、実際に触ってみたところ、釣果に影響するような違いではなさそうです。
がまかつです。やはりしっかりしているように見えます。
錆び付き
5カ所横並びに分かれているプラスチック製の容器に半分程度水道水を入れ、そこにそれぞれのフックを漬けておきます。このまま放置して毎日チェックし、変色が見られたら▲、私が交換すると判断するレベルの錆び付きになったら×、で判定してみました。左から順に、ダイソー、Azzuro、MajorCraft、OWNER、がまかつ、です。
【1日目】
Azzuroが針先3本の接続部で変色を開始していました。その他のフックについては問題なさそうです。
ダイソー | Azzuro | Major Craft | OWNER | がまかつ | |
---|---|---|---|---|---|
1日目判定 | 合格 | ▲ | 合格 | 合格 | 合格 |
【2日目】
Azzuroは前日から大きな変化はありません。写真では見づらいですが、MajorCraftを左側から確認したところ、若干の変色が見られました。それにしても、恐るべしダイソー。前後左右くまなく確認しましたが、2日目時点でまだ変色さえ見られません。
ダイソー | Azzuro | Major Craft | OWNER | がまかつ | |
---|---|---|---|---|---|
2日目判定 | 合格 | ▲ | ▲ | 合格 | 合格 |
【3日目】
ついに、悲劇が起こりました。ダイソーに変色発生です。しかも、フックの先端。最後までがまかつとデッドヒートをするところを見たかったのですが、残念です。
ダイソー | Azzuro | Major Craft | OWNER | がまかつ | |
---|---|---|---|---|---|
3日目判定 | ▲ | ▲ | ▲ | 合格 | 合格 |
【5日目】
ダイソーの針の先端の錆びが水にしみ出てきました。ただ、この状態で交換するかというと、まだ使えるレベルなので判定は△のままとしておきます。
ダイソー | Azzuro | Major Craft | OWNER | がまかつ | |
---|---|---|---|---|---|
5日目判定 | ▲ | ▲ | ▲ | 合格 | 合格 |
【10日目】
ダイソーから染み出る錆がさらに広がっていました。残念ですが、ここでダイソーは交換レベルと判定したいと思います。
ダイソー | Azzuro | Major Craft | OWNER | がまかつ | |
---|---|---|---|---|---|
10日目判定 | × | ▲ | ▲ | 合格 | 合格 |
【20日目】
真水だと勝負が付きそうにないので、10日目に少し塩を入れてみました。これですぐに決着がつくだろうと思っていましたが・・・まだ頑張っていました。ただ、Azzuroはフックの先端に錆が発生していましたので、交換レベルと判定します。
ダイソー | Azzuro | Major Craft | OWNER | がまかつ | |
---|---|---|---|---|---|
20日目判定 | × | × | ▲ | 合格 | 合格 |
【30日目】
最後はがまかつ側から撮ってみました。30日間屋外に置きっぱなしにしましたが、OWNERとがまかつは全く錆びる雰囲気は見られません。ここで、実験は終わりにしたいと思います。
ダイソー | Azzuro | Major Craft | OWNER | がまかつ | |
---|---|---|---|---|---|
30日目判定 | × | × | ▲ | 合格 | 合格 |
強度
強度を正確に測るには専用の機械を使う必要があります。しかし、今回は私のような素人が検証するので、体重計を使って測ることにしてみました。体重計の上にフックを乗せて、その上から園芸用の鎌で圧力を掛けます。フックが耐え切れずに曲がったときの重さを記録します。
下の表の結果になりました。軸の見た目が細いダイソーは、予想通り他と比べてかなり耐久性が低かったです。その他は誤差のレベルではないかと思います。
ダイソー | Azzuro | Major Craft | OWNER | がまかつ | |
---|---|---|---|---|---|
耐加重 | 5kg | 11kg | 12kg | 8kg | 12kg |
あと、壊れ方に違いがあるのも興味深いところです。下の写真のように、3本の針の接合部が曲がるものと、針が折れるものがありました。折れたのはAzzuroとMajorCraftです。
最後にまとめ
検証した結果を表にまとめました。
【単価】は、言うまでもなくダイソーの良く釣れる釣具シリーズの圧勝です。よく釣れる釣具シリーズは、同じ種類の道具であれば一般釣具店の1/3~1/8くらいの価格で買うことができます。
【形状】は、それぞれに若干の違いはありました。ただ、トレブルフックはそもそもフィッシュイーターに飲み込んでもらうものなので、若干の形状の違いが釣果に大きく影響することはないと思います。
【針先】は、かなり接写して確認しましたが、こちらも安いものが甘い感じはありませんでした。ただ、材質によっては使用するにしたがって、甘くなっていくこともあるかもしれません。それを検証するには長期間使わないとわからないので、今後の課題としておきます。
【錆びに対する強さ】は、真水であればどのフックもかなりの時間耐えていました。ただ、やはりがまかつは強いです。残りの4種類については、トレブルフックで老舗のOWNERが強さを見せました。海水と真水ではかなり錆び付きについては違いそうです。やはり、釣行後早めに塩水を流すのは大事ですね。
【強度】は、今回比較したフックの中では、ダイソーを除けば大きな違いはありませんでした。なお、下の表はがまかつの強度を1としたときの相対値を書いています。
ダイソー | Azzuro | Major Craft | OWNER | がまかつ | |
---|---|---|---|---|---|
型番 | KI-21-10 | AZ-56 | JPT-4X | ST-36TN | RB MH |
外観 | |||||
製造国 | 中国 | 不明 | 中国 | 中国 | 日本 |
価格 | 110円 | 380円 | 480円 | 585円 | 765円 |
内容量 | 3本 | 6本 | 5本 | 7本 | 6本 |
単価 | 37円 | 63円 | 96円 | 84円 | 128円 |
形状 | |||||
針先 | |||||
錆び付き | 10日目 | 20日目 | 30日以上 | 30日以上 | 30日以上 |
強度 | 0.4 | 0.9 | 1 | 0.7 | 1 |
これらの結果から、それぞれのメーカーに対する総合評価を書きたいところですが、今回評価した項目以外にも比較すべき要素はあるかもしれませんので、読者の皆さんにこれをどう解釈するかの判断はお任せしようと思います。強いて言えば、我々釣り人が普段から経験と勘で感じているフックの性能の違いは概ね間違っていない、ということです。
別の記事でダイソーVJについて紹介しましたが、このダイソーVJに付属しているフックは今回検証したシリーズと同じものと思われます。今回検証した結果を見る限り、やはり当面は実釣前に交換する方が良さそうです。
最後に、100均を愛する筆者としてはダイソーにあともう一歩頑張ってもらいたいです。価格を仮に220円にしてもまだ安いので、もう少し軸を太く、もう少しメッキを改良すれば、青物狙いでも安心して使えるようになるかもしれません。
セリアからトレブルフック(2022/4/19追記)
本日セリアで釣具コーナーを視察していたところ、トレブルフックが出ていることが判明しました。
製造国は中国、価格は110円、内容量は4本、1本あたりの単価は検証したフックの中ではさらに安く27円のようです。
追加検証してまとめました。