初めに
錆びたフックって捨てるしかないの?もったいないな~
こんなことを考えている方向けに、フックの復元ができないか検証してみました。
ルアーフィッシングは餌釣りに比べてランニングコストが掛からないと言われます。餌釣りの場合は、釣行のたびに少なくとも何らかの餌を買う必要があるため、最低でも1回の釣行に500円は掛かります。
それに対してルアーフィッシングは、あらかじめ購入しているルアーを投げるだけなので、ちょっと考えるとランニングコストがあまり掛からないように思えます。しかし、実際に両方の釣りをやっていると、ルアーフィッシングの方がお金の無くなるスピードが速いような気がします。
ルアーは100均のものを除けば、ジグ系で安くても1個500円、プラグ系の高い物は2000円以上します。半日程度釣行に行くと、根がかりしたり、ライントラブルが起こったりするため、平均すると餌釣りと同じか、それ以上のロスコストが発生します。
これらのロスコストは技術アップによってある程度抑えることはできますが、ルアーの塗装の剥げやフックの錆びつきについては技術でカバーすることが難しく、一定の周期で交換するのが普通です。
フックは多少錆びても使い続けて問題ありませんが、私はどうしてもこれが釣果に影響するような気がして、今までは少しでも錆びたら交換してきました。しかし、フックは各種消耗品の中では比較的出費が大きく、環境に優しいとも言い難いので、できるだけ新品を買うことなく長く使いたいところです。
今回の記事では、100均で買った道具を使って錆びついたフックを元の状態に蘇らせることができないか、実験してみました。
錆びたフックの復元
釣りをしていると細かい金属類のゴミが出てきますが、私はこれらのゴミを毎回捨てずにテニスボールの空き缶にため込んでいます。ある程度たまったら、燃えないゴミとして廃却します。今回の実験は、この中にある錆びついたフックを使います。
ところで、「錆びる」というのはどういう現象かご存じでしょうか?子供の頃の理科で何となく学んだと思いますが、要は金属が酸素と結びついて安定した状態が錆びの正体です。
金属が酸素と結びつくことを「酸化」と表現します。この酸化は、水溶液に使う「酸性」「中性」「アルカリ性」の酸性とは無関係の言葉で、たまたま漢字が同じだけです。
錆びを取るためには、金属に結び付いた酸素を剥がす必要があるため、酸素イオンを吸収する性質を持つ酸性の液体を使う方法が有効です。こんな記事も参考にしてみました。
錆び取りグッズ
- ダイソー クエン酸
- タマノイ ヘルシー穀物酢
- セリア 金属みがき綿
100均で売っている酸性の薬剤はたくさんありますが、どこのダイソーでも掃除用品コーナーで売っている「クエン酸」を選択しました。
効果の比較のため、魚をさばくときに使用している穀物酢も準備しました。薬剤に漬けた後は目の細かいヤスリを使って錆を落とすつもりでしたが、たまたまセリアで専用の錆び取り用の綿が売っていたのでそれを使ってみます。
錆びたフックの確認
クエン酸と穀物酢の効果を比較するため、錆びたトレブルフック2本を選びます。赤錆が付いている大きめのフック、黒錆と赤錆が付いている小さめのフック、それぞれ1本ずつを選びました。
錆びたフックの薬剤投入
大きめのフックをクエン酸、小さめのフックを穀物酢に漬けます。適切な時間はわからないのですが、とりあえず3時間ほど漬け込んでみました。
漬け込んだフックの取り出し
漬け込んだフックを3時間程度経過後に取り出しました。まずは、クエン酸に漬け込んだ大きめのフックは以下の写真です。まだふき取りしていませんが、明らかに漬け込み前よりもきれいになっています。
次に、穀物酢に漬け込んだ小さめのフックは以下の写真です。こちらは黒錆びが付いていたせいか、大きめのフックに比べると劇的な変化があったようには見えません。ただ、漬け込む前よりもきれいになっていることは確かです。
取り出したフックのふき取りと洗浄
金属みがき綿で取り出したフックに付いている残りの赤錆を拭きます。ちなみに、金属みがき綿はこんな素材になっています。
ふき取りした後のフックはこんな感じになりました。まずは、クエン酸に漬けた大きめのフックは以下の写真です。見違えるほどきれいになっています。
次に、穀物酢に漬けた小さめのフックはこんな感じです。黒錆びに覆われているため写真ではわかりにくいのですが、こちらも赤錆はほとんどとれています。
大きめのフックの方がわかりやすいので、処理前後の写真を横に並べてみます。錆びていたとは思えないくらいきれいになっています。
酸性の薬品は錆びに効果がありますが、鉄そのものを溶かす可能性があります。フックの先端や返しが鈍っていないか確認します。写真で見る限り問題なさそうです。
最後にまとめ
今回の実験で、クエン酸を使えばフックに付いた赤錆はほぼ完全に取れることがわかりました。
今までは少しでも錆びが気になったら捨てていましたが、これからは錆びたフックをある程度ためて、数十個たまったタイミングで今回の処理をすることで再利用したいところです。
クエン酸と酢で効果の違いがあるかも見たかったのですが、穀物酢で処理をしたフックは黒錆びが掛かって見づらかったせいか、いまいち効果の違いがわかりませんでした。
酢でもほとんど効果は変わらないのではないかと思いますが、においが付くのでクエン酸の方がお勧めです。
ちなみに、この記事の本文では書かなかったのですが、同じような処理を太刀魚用のワイヤーでもやってみました。
このワイヤーは、フックの比じゃないくらい錆びついていたのですが、錆びがワイヤーの先端のスナップの中まで浸透していて薬剤に漬けて拭いたくらいでは復活しそうにありませんでした。
今回の方法は、錆びの進行が進みすぎているものまでは使えないようです。
太刀魚テンヤは結構いい値段します。錆びて使えなくなると、フック以上にもったいないので、下の記事で今回の方法を試してみました。
太刀魚テンヤの錆び取り前後の写真だけ載せておきます。