初めに
エギングって難しい。上手な人は釣れているのに何で僕は釣れないの?
100均餌木はどうなの?
エギングは、他の釣りと比較して、知識と経験で釣果が大きく変わる釣りです。上手な人が持っているノウハウをわかりやすくまとめてみました。
秋の朝まづめ夕まづめの時間になると、釣りができる堤防では、比較的内向きの浅瀬でエギングをやっている釣り人を多く見かけます。
筆者が釣り始めたての頃、なんでイカを餌木を使って狙う釣り人がいるのかいまいち理解できませんでした。
ルアーがガツンとヒットしたときや、ウキが一気に沈み込む釣りの方が楽しいはず、そう思っていたわけです。
しかし、実際にやってみると、エギング独特の奥深さに魅了されていきます。
この記事では、今からエギングを始めたいと思っている方向けに、お勧めの場所・時期と道具選び、そして経験者が知っている意外なノウハウについて紹介していきます。
この記事では、アオリイカ狙いのエギング釣法に絞ってまとめているぞ!他のイカを狙うのであれば、場所・道具・技術も若干違うので、別の記事を参照してくれ!
何で釣れないの?
本題に入る前に、この記事にたどり着いた人は、同じようなことをやっているのに、なんで経験者のように釣れないのか理解できていないかもしれません。
一般的な釣りは、ほぼ場所と時期で釣果が決まり、道具や技術の要素はそれほど高くありません。
それに対して、エギングは、場所と時期はもちろんですが、加えて道具と技術、4要素バランスよく揃っていないと釣れない特徴があります。
つまり、エギング初心者の場合、場所と時期は合っていても、道具が間違っていたり、技術が伴っていないから釣れない、と言えるな。
アオリイカの釣れる時期と時間
イカにはいろいろ種類がありますが、堤防から狙う上で最も人気があるのが「アオリイカ」と呼ばれる種類です。
ねっとりとした食味で、甘みがあり、お土産として持ち帰ると特に喜ばれます。
筆者の経験から、大阪湾から明石海峡周辺で釣れる時期をカレンダーにまとめるとこんなイメージです。
4~6月は春イカまたは親イカ、9~11月は秋イカまたは子イカと呼ばれています。春と秋の中間の7,8月は、親イカとマイクロ子イカが混じっています。
春イカは、越冬した大型のものが多く、子孫を残すために沿岸の藻場に近づいてきます。生きている時間が長い分だけ警戒心が強く、容易には釣れません。
秋イカは、10~20㎝前後の生まれたてサイズで、春イカに比べると警戒心が薄く、積極的に捕食してきます。
エギング初心者であれば、秋イカから始めるのがお勧めです。
最後に、イカを狙う時刻についてです。
イカは夜行性で、夜間に積極的に捕食する傾向があります。
夕方~早朝であれば、食い気としてはほとんど同じくらいですが、真っ暗だと餌木操作がやりにくいので、薄暗い夕方と明け方前が特にお勧めです。
エギングの釣り場
エギングの場合、どこの釣り場でやるのかは非常に重要です。ここを間違えると、どんなに上級者でも釣ることはできません。
イカが居ることも重要ですが、エギングのやりやすさも場所選びのポイントになります。
エギングを始めるのであれば、以下の3つのポイントが揃っている場所を選ぶようにしましょう。
- イカ墨の跡がある(または上手そうな釣り人がいる)
- 水深が5m以下の浅場
- 潮流が緩い
最も簡単な場所選びの基準は、堤防の墨跡があるかどうかです。墨跡があるということは、イカを釣った実績がある証拠になります。
ただ、上級者が付けた墨跡の場合、初心者が同じ場所でやっても釣れないことが多いです。
実際に、筆者もエギング始めたての頃、見よう見まねで墨跡のある場所でエギングをしたが、全然釣れなかったぞ!
墨跡に加えて、水深と潮流のポイントもチェックしましょう。
水深が浅いことと潮流が緩いことがなぜ重要なのかというと、餌木のコントロールがしやすいためです。
以下のような釣り場があったとき、お勧めの釣り座は★マークのある場所になります。
なお、一発大物のイカを狙いたいのであれば、水深が深くて、潮流がある外洋を選びます。
ただし、内湾で十分な経験を積んでからチャレンジするのがお勧めです。
エギングに必要な道具
タックルと仕掛け
エギングのタックルは、ショアジギングと同じで非常にシンプルです。竿とリール、及び道糸にリーダーを付けるだけの構成です。
竿とリール
竿は、釣具店のルアーフィッシングコーナーにある、エギングロッドを必ず選ぶようにしましょう。
エギング用ロッドは、餌木にきびきびした動きをさせるため、竿中央が硬く、先端が柔らか目で、ガイドが小さくなっています。
他のルアーフィッシング用ロッドでも代用できなくはないですが、餌木に生き生きした動きをさせたいなら、専用のものを使うようにします。
以下の写真は、筆者が持っているダイワのエギングXというシリーズです。
エギングロッドを選ぶとき、長さと硬ささえ見れば、その他の項目はあまり気にしなくても大丈夫です。
長さは餌木キャスト時の飛距離、硬さは使用できる餌木の重さに関係します。
ただ、エギングロッドと名の付くものであれば、それほど使い心地に違いはないので、持ってみてしっくりくるものを選べば大丈夫です。
次にリールについてですが、何を使っても釣果には影響しません。
ただ、頻繁に巻いて投げてを繰り返すので、あまり重いものは使いにくいです。2000番から3000番程度の大きさのものが使いやすいでしょう。
繊細な巻き取り操作をするため、できればダブルハンドの方が微妙な巻取り量の調整がしやすいです。
筆者は、2024年現在、下の写真のダイワ23レガリス2500番を使っています。
道糸とリーダー
道糸はPEライン、リーダーはナイロンかフロロを使います。一般的なルアーフィッシングと同じです。
道糸は細めを使います。0.4~1号であればどれでも大丈夫です。
筆者は、太刀魚狙いでも同じリールを使いたいので、やや太めのPE0.8号を使っています。
リーダーは、ターゲット次第ではありますが、フロロカーボンであれば1.5~3号とします。
しっかり結束すれば、切れることはまずないので、できるだけイカに気が付かれにくい細めのものを使いましょう。
筆者は、太刀魚を同時に狙う場合はフロロ3号、イカだけを狙う場合はフロロ2号を使っています。
道糸とリーダーの結束は、FGノットができるならそれが一番いいですが、それほど強度が必要ないので、より簡単な結束方法でも大丈夫です。
餌木
エギングの釣果を決める最も重要な道具が、餌木本体です。
多少技術面に問題があったとしても、適切な餌木さえ使っていれば、粘れば一杯くらいは釣ることができます。
筆者が考える、釣果を決める餌木本体の要素を重要な順に列挙するとこんな感じです。
- 餌木の大きさ
- 餌木の重さ
- 餌木の形
- 餌木の材質
- 餌木の音(ラトル)
- 餌木の色
賛否はあると思いますが、最も重要なのが大きさ、逆に多くの種類があるがあまり重要ではないのが色、です。
【餌木の大きさ】
これは、一般的な釣りの考え方と同じで、ターゲットの体格に合わせた大きさにすること、食いが渋ければ小さくすること、が重要です。
例えば、9月の新子イカ狙いであれば2.5号、10月は3号、11月は3.5号、というように、成長に合わせて大きくしていきます。
また、釣れないと感じたときは、一つ号数を落とすようにします。
【餌木の重さ】
これは、フォール時間に影響します。
基本的にはフォールでアピールしたいのでできるだけ、フォール速度の遅い軽めを使いたいです。
ただ、潮流が激しい場所だと、軽すぎるとなかなか底を取れません。
浅くて潮流の少ないところは軽め、深くて潮流が激しいところは重め、が基本的な考え方です。
【餌木の形】
餌木の胴体は、筆者が今まで経験している範囲では、ほぼ同じような形をしています。違うところは、左右のヒゲ、下部の足です。
ほとんどの餌木が左右にヒゲのあるタイプで、一部の餌木に足が付いているタイプがあります。
どちらが釣れるということではなく、その日によって当たりの形状がある、という印象です。
【餌木の材質】
大部分は胴体に布が巻いてあるタイプで、一部にプラスチックがむき出しになっているタイプがあります。
布タイプは、抱いたイカが違和感を感じにくいと言われていますが、布はかじられてしまうため、比較的寿命が短い傾向があります。
プラスチックタイプは、その逆の傾向があります。
【餌木の音】
餌木が動いた時に、体内の鈴のようなものが音を出すタイプがあります。餌木から出る音を「ラトル」と呼びます。
ラトルがあるタイプの餌木は、効果が高いとPRしていますが、筆者の感覚としてはそんなに差はない気がします。
購入した人間の気持ちの問題程度だと思っていいです。
【餌木の色】
釣具店の餌木コーナーに行くと、同じ形状で多数の色のものがあります。
イカの目は、濃淡を判別することはできますが、色彩を判別することはできないと言われています。
そのため、イカは、色彩そのものではなく、色彩に応じた濃淡だけを認識することができます。
筆者は、餌木の色は、イカを釣るため、というよりも、人間を釣るためにカラーで種類を増やしてたくさん買わせている、と思っています。
そうは言っても、カラフルな餌木を複数持つのは、コレクターの気分になって意外と楽しかったりする・・・
【ワンポイント(100均餌木はどう?)】
下の写真のうち、上はセリアの3.5号餌木、下はダイソーの3号餌木になります。
これらの100均餌木ですが、専業メーカーの平均的な重さよりも軽い仕様となっているようです。
ただ、キャストした感じ、軽い割に飛距離が出ます。
空中で飛びやすいということは、水中でのフォールスピードは速いと思われます。
いろいろな方の実釣記録によれば、これら100均餌木でも釣れるようです。
ただ、正直言って、2024年現在の100均餌木は、専業メーカー品と同等の釣果が出るレベルには到達していない気がします。
どこが違うのか具体的な説明はできませんが、筆者が何度か実釣で使った感じ、体感できるレベルでヒット率が違います。
専業メーカー品は1,000円前後で、10倍の値段の違いがありますが、少しでも釣果を上げたいのであれば、2024年現在の100均商品は避けた方がいいです。
おそらく、餌木フォール時の姿勢が専業メーカー品の方が数段優れていて、そこが釣果の違いに現れていると考えられるな。
その他準備しておきたいもの
イカは、持ち帰ったとき、仮に締まった状態でも、体内の墨が出てきてクーラーボックスを墨だらけにしてしまいます。
少しでも墨を拡散させないために、下の写真のようなジップロックがあると便利です。ただのビニール袋よりも確実に密閉できます。
下の写真は、セリアの商品です。ファスナーがついていて、開け閉めが簡単でお勧めです。
夜釣りで狙うなら、ヘッドライトが必要です。
ヘッドライトを使うときは、手元を照らすときだけ点けるようにして、海面を照らしたり、他の釣り人に向けることがないようにしましょう。
海面を照らすと、イカが驚いて逃げてしまいます。また、他の釣り人とのトラブルのもとにもなるので、点灯するのは最低限とするのがマナーです。
エギングの技術
ドラグ調整
餌木をキャストする前に、ドラグの調整をします。
エギングはしゃくった時に激しいドラグ音がするのが良いしゃくりと思っている人がいるため、ドラグを緩めにしている人が多い印象です。
しかし、筆者は、ドラグを緩めにするのはあまり意味がないと思っています。
ドラグを緩くする目的は、イカの身切れを防ぐくらいしかありませんが、小イカであっても身切れでバレるようなことはほとんどないです。
逆に、ドラグが緩いと、しゃくり操作が餌木に伝わりにくくなり、生き生きとした動きの演出がしにくくなります。
お勧めは、力強く竿をしゃくったときに、かすかにドラグ音がジッっと鳴るくらいの調整です。
餌木のキャストと着底
餌木のキャストは、ショアジギングなどと変わりません。
ただ、比重が軽い餌木は、ショアジギングと違って、着底が手元に感覚として伝わりにくいため、想定着底時間をカウントして着底を予測します。
餌木を購入すると、パッケージに水深1m当たりのフォール時間が記載されているものがあります。
そのフォール時間に着水地点の水深を掛け算することで、カウント時間を決定します。
例えば、水深5mの場所で、3.5秒/mの餌木を使った場合は、着水から約18秒カウントすれば着底、と考えればいいわけです。
餌木のパッケージに記載のフォール速度は、餌木に対して道糸や潮流などの影響が全くかかっていないときの数字だ。つまり、実際には、記載されている数字より、もう少しフォール速度は遅くなるぞ!
餌木の動かし方
イカの近くに餌木を落とすと、イカはいきなり捕食せずに周りから様子をうかがうことがほとんどです。
そこから、イカが我慢できずに抱きつかせるための演出が「しゃくり」という竿操作になります。
イカの習性として、我慢できずに抱きつきたくなる餌木の動きははっきりしています。それは、急激な上下の動きです。
左右ではなく、上下というのがポイントで、エギング経験者と初心者で最も差がでる技術面の違いはこの部分にあります。
餌木をできる限り上下方向に動かすには、下ろした竿を道糸ごと一気に振り上げて、竿が垂直に立つ直前で重みを感じるようにしゃくることです。
以下の図は、いまいちなしゃくり方と、理想的なしゃくり方を比較したものです。
理想的なしゃくり方をする場合、図に示すように道糸のテンションをある程度緩めておく必要があります。
当たりの待ち方
一つ目のポイントで、かつ最も重要なのは、竿操作を止めてじっくり餌木をフォールさせることです。
待つんだから当たり前だと思うかもしれませんが、エギングを始めたての人を見ると、竿操作をやりすぎと感じることが多々あります。
水深や餌木の比重にもよりますが、概ね竿操作時間1に対して、フォール時間は10くらいの感覚でいいと思います。
イカが餌木に抱きつくのは、しゃくっている最中ではなく、しゃくり終わってフォールしている最中です。
市販されている餌木は、1mフォールするのに3~4秒かかるものが多い。一回のしゃくりで餌木は1mくらい跳ね上がるので、一回しゃくったら、最低でも3,4秒は待つ必要があるぞ!筆者は、一回のしゃくりで8秒くらいは待つことが多いな。
二つ目のポイントは、イカに餌木をがっちり抱かせるため、竿一本分くらいの糸ふけを残して待つことです。
筆者も経験がありますが、イカが餌木を抱いて持っていった直後に道糸にテンションがあると、すぐに違和感を感じて放してしまいます。
この二つ目のポイントは、エギング経験者が持っているノウハウの中で、あまり教えてもらえないポイントだと思います。
三つ目のポイントは、ヒットに気が付いた直後に一気に合わせを入れるため、ある程度道糸を張っておくことです。
フォール中は竿を道糸方向に向けて下ろしておき、合わせるときには竿を一気に立ち上がらせます。
竿が立った時にテンションが掛かる程度の糸ふけ状態が理想的です。
二つ目と三つ目のポイントは相反するようですが、要は、道糸を完全に張らない程度に糸ふけを残しておく、というのが餌木フォール中のスタイルになります。
ヒットパターンと合わせ方
筆者の考えるヒットに気が付くパターンですが、大きく分けると2つです。
- 【パターンA】しゃくった直後の手元の感触で気が付く
- 【パターンB】目視で気が付く
エギング始めたてや道糸が見えない夜釣りだとパターンAがほとんど、慣れてくるとパターンBでヒットに気が付けるようになります。
パターンAは、ヒットに気が付いた時には合わせが終わっているので、あとは回収するだけです。
パターンBは、ふけた道糸が、風や潮流と異なる方向に引かれたことを目視で確認できたときにヒットに気が付きます。
気が付いたら、ただちに竿を立ち上げて、合わせを入れます。
ショアジギングの場合、横に竿を振って合わせる人もいますが、エギングの場合は必ず縦に竿を振って合わせるようにしましょう。
合わせが成功したら、あとは回収するだけですが、よっぽどの大物でなければゆっくりリールを巻いて、最後は竿の反発力で岸に上げます。
キロをオーバーするような大物であれば、タモ網を使って回収します。
パターンBで釣れるようになると、エギンガー初心者は卒業と言っていいぞ!意識して合わせて乗った感触が、エギング釣法の一番の醍醐味だ。
実釣記録を少し紹介
ここまで紹介したノウハウを活用すれば、秋のシーズンであれば、一晩で下の写真くらいの釣果は出せるようになります。
タコも写っていますが、餌木の着底時間が長いと、このようなゲストもたまに掛かってきます。
もっと上手な人であれば、一晩で20~30杯釣っているのも見たことがあります。
一晩で二桁釣れるようになるには、上手な人に教えてもらうか、2,3年の経験を積むしかありません。
筆者が、最初の一杯を釣るまでの奮闘記も紹介しておきます。