初めに
釣りってどんな天気がいいの?
釣具店で潮見表をもらったけど、潮ってどう考えたらいいの?
こんな疑問を持つ方の解決をお手伝いします。
一般的に魚は潮が動いていないときには釣れないと言われます。私が初心者の頃、ある釣具店で小物を買ったとき「これが来年の潮見表です!」と店員さんにプレゼントされたことがあります。渡された潮見表を見たのですが、私には電車の時刻表にしか見えなかったので、ほとんど読まずに倉庫の奥にしまったままにしました。
その後、潮の動きなど気にせず、とにかく時間のある時に釣りに行っては一喜一憂していましたが、長時間釣り場で釣りをしていると平均的にどの時間もぽつぽつ釣れるのではなく、ある30分くらいの短時間に突然入れ食いになるような状況が多いことに気が付きました。
魚はほとんどの食事を早朝にすると言われており、実際早朝にはよく釣れます。しかし、同じような天気、同じような気温なのに、ある日の朝は爆釣、その翌日はボウズということがあります。
このような釣れる釣れないの波があるのは、単なる偶然ではなく一定の規則があることを釣りの経験者は知っています。
この記事では、私がよく天気や潮の状況を確認するために手軽に使っているYahoo天気予報の潮汐情報2日間のデータを参考にしながら、天気・水温・風速・波の高さ、そして潮をどうやって考察したらいいのかを初心者にもわかるようにまとめてみました。
天気と潮の考え方
釣りは生き物を相手にする遊びなので、ここから書くことは絶対にそうだということではありません。確率的にそういうことが多い、またはそういうことを考慮する必要がある、くらいの気持ちで最後までお付き合いください。
天気
晴れと曇りの日は、私自身はあまり釣果に違いがあると感じたことはないです。強いて言えば、神戸では南向きで釣りをするケースが多いので、曇りの方が太陽がまぶしくならないメリットがあります。
雨の日に釣りに行くのはお勧めできません。これは釣れる釣れないではなく危険だからです。柵のある堤防であれば落下の危険はありませんが、晴れの時の数倍のスピードで体力が奪われていきます。
また、夏場は時には落雷の危険もあります。過去に釣り中に落雷で亡くなった方もいるようです。雨の日は魚の警戒心が薄れて釣りやすい、という話も聞きますが、疲れるのが早いと釣れてもあまり楽しくありません。
その他、台風の直後の晴天は釣れやすい、という話もあります。私はそういうケースで釣りに行ったことがあまりないので実感はできていませんが、おそらく海水がシャッフルされて餌が魚に取って食べやすい状況にあることが要因になっているのだと思います。
水温
堤防近辺の水深5~20m前後の場所に魚がいるかどうかの最も重要なパラメータです。変温動物である魚は、種類によって適温が異なります。要は、夏から秋に釣れる魚は高水温を好み、冬から春に釣れる魚は低水温を好みます。
水温15℃が釣りができる一つの境目と言われています。気温と違って海水は急に温度が上がったり下がったりしませんので、日々チェックしなければならない値ではありません。気象庁から毎日の海水温の状況図が発表されています。
また、神戸地区のピンポイントの水温情報は、第五管区海上保安庁から提供されていますので、こちらも参考にしてみてください。
風速
これは、魚がいるかいないかというよりは、釣りがしやすいかどうかの判断で必要です。風速5m/s以上になると、道糸を長く出すルアーフィッシングは風の影響をもろに受けて非常にやりづらくなります。また、餌釣りだとしても、水面が大きく揺れて当たりがわかりづらくなります。海辺は天気予報に記載されている風速よりも風が強い傾向があります。
私は行く気になったら風が強くても行ってしまいますが、7m/sを超えるような予報であれば楽しくなくて結局すぐにやめてしまうことが多いです。
波の高さ
これは風速に連動することが多いパラメータです。1.5mを超えると、釣りがやりづらくなります。
潮
月の引力の影響で刻々と変化する水位のことを潮と呼び、水位が最も高い状態の頂点の時刻を満潮、水位が最も低い状態の頂点の時刻を干潮と言います。約6時間周期で満潮と干潮が訪れると言われます。
単位時間当たりの潮位の変化が大きいときは「潮が動いている」と呼び、魚が釣りやすいと言われています。
参考までに、以下が2日間の天気と潮汐情報をまとめた表になります。
12/14は小潮、12/20が大潮となっています。小潮は満潮と干潮の単位時間当たりの潮位の差が小さいのに対して、大潮はその差が大きくなっています。また、同じ日でも水位が大きく変わる時間帯とほとんど変化がない時間帯があることがわかります。6時間周期で変化すると書きましたが、12/14の6~9時を見ていただくとわかる通り、極めて短時間で満潮干潮が入れ替わることもあります。
細かい時間で潮位を取りグラフにすると以下のように分かりやすくなります。横軸が時刻で左から順に0時~24時です。縦軸が潮位となっています。潮が動いている、というのは、このグラフの傾きが大きい状態を表します。
12/20は大潮ですが、グラフで見ると傾きが激しい時間は夜明け前と夜更け後であり、日中はほぼ潮が動いていません。このようなときは、大潮だからと言って日中に釣りに行っても、少なくとも潮が動いている状態ではないためあまり釣れないのではないか、と予想できます。朝まづめは潮の状態に寄らず釣れる時間と言われます。そのため、この潮の変化が大きい時間が早朝6時頃に重なると爆釣が期待できます。
朝まづめや夕まづめは実際に釣りをやると明らかに釣果がでるため、朝や夕より真昼間が釣りやすいと主張する人はいません。
それに対して、潮の話はいろいろな説があるようで、何か科学的な裏付けがあるわけではなく、中には「大潮の満潮は釣りやすい」という潮の動きとは真逆の主張も見かけます。また、私の釣りの師匠であるマンボ師匠は、「明石海峡のような元々流れが速いところはむしろ潮が止まっているときの方が魚がいる」と言っていました。
潮の動きを見るようになれば中級者・上級者の仲間入りだと思いますが、あまりこだわりすぎず予想が当たったらラッキーくらいの気持ちでよいかと思います。
最後におまけ
ここまでまとめておいて、最後に身も蓋もないことを書いてしまいます。中級者以上の釣り人であれば、ここまで書いたことは皆さん概ね知っていると思います。ただ、わかっていても釣りに来てしまうのが釣り人です。
私なんかは、潮どころか水温が15℃を下回っていて明らかに青物が回遊していないことがわかっているのに、「1匹血迷って自分のルアーの真横を通過してくれるかも」と、前日に見た天気予報を頭の片隅から追いやって気が付いたら釣り場に到着しています。
でもいいんです。釣れなくても。釣り場に来るまでのワクワクした時間も楽しいから。「釣れないことはわかっている。でも俺は釣りがしたいんだよ。」こんな心の叫びが釣り人魂だと思っています。